実務担当者から見た安全保障輸出管理の現状 その 5

by admin

今回はキャッチオール規制と実務面での対応についてまとめてみましょう。
下記はMETIサイトのFAQからの抜粋です。

Q1輸出の時点では客観要件に該当していませんでしたが、輸出後に、輸出した貨物、需要者に関する懸念情報を新たに入手しました。
この場合は違法輸出に当たりますか。
A1:違法輸出に当たりません。

Q2:入手した文書等には、「入手することが可能な文書等」も含まれるのですか。
A2:含まれません。輸出の時点までに実際に入手している文書等について客観要件のチェックを行って下さい。

契約の時点で「○○兵器製造に使用します」「最終的には○○国に迂回して送られます。」などと契約書に記載するお客様はいないかと思います。
受発注もWEBやシステムを使用して行っている企業が非常に多くなっていますし、1日何百件の受発注を行っているのに
客観要件のチェックを都度行うことは時間的に不可能です。

しかしこのような場合はどう対応すればよいでしょうか?


ある企業では、実際こんなことがありました。
関係当局からこんな電話がはいりました。。。。。

「御社製品が北○○製の船舶から部品として発見されました。どのようなルートをたどって輸出されたのか知りたいので○○省まで出頭願います。」

実際に出向いて説明を求められましたがどんな回答をするのが望ましいでしょうか?


1,この製品はAという国内の顧客へ○○の部品として販売している。それが海外でみつかる筈がない。
2,当社は大量破壊兵器や通常兵器等の製造しているお客様とは商売していない。
3,仮に当社の販売先がどこの国のどのお客様へ販売するかはそのお客様の勝手なので当社は関与しない。

1~3の対応はいずれもNGになるでしょう。「想定外」「~筈がない」という対応は不備を指摘されます。
指摘や報告があっても「1000年の一度の津波は想定していない」「全電源が停止する筈がない。」
なんて言っても実際におこって大変なことになっていますね。

やはり予防線を張っておかなければいけません。


この場合、Aが自社製品を一般消費者向けに販売している業者であれば、Aとの契約において日本の販売先であっても
輸出国の限定(テロ支援国家へは輸出を行わない)
「METI発行の外国ユーザーリストへ登録されているユーザーへの販売を行わない」などの誓約書を交わしておくことも必要かと思います。

例えばこんな感じで文書でもらっておくとか。XXXは自分の会社のことです。

Statement(宣誓文)

当社は、xxxxxxのハードウェアや技術、ソフトウェア等の製品を、輸出・提供の際に、

外為法および米国輸出規制:EARに従い、日本および米国の関係法令で禁止されている

移転や転売等をしないこと、さらには米国政府が定めるテロ支援国家(キューバ、イラン、

北朝鮮、スーダン、シリア)または中国への軍用途向けに譲渡しないことに同意します。

当社は、最終使用者がXXXXX の製品・技術を次の目的で使用しないことを確認

しました。また、次の行為をおこなう、またはおこなうおそれのある最終使用者にXXXX

の製品・技術を販売しないことに同意いたします。



核兵器や爆破装置の設計、開発、製造、または試験、及び放射性の特殊な核物質や

原料用の化学処理施設、重水製造、特殊な核物質の原料の同位体分離、

プルトニウムを含む原子炉の燃料製造や保障措置が適用されていない核施設の設計、

建設、製造、ならびにそれらの施設の稼働。ロケットシステム(弾道ミサイル、宇宙船発射台、

および探測ロケットを含めたシステム) ; または無人飛行体システム(巡航ミサイル、

無人ターゲット、遠隔操縦車両、無人偵察機を含むシステム)の設計、製作、操作、

またはメンテナンスの直接的または間接的な支援。化学・生物兵器の設計、開発、製造、

備蓄や使用。

当社は、上記宣言文に同意し上記内容に相違のないことを証明します。


会社名
住所                              .
部署名
氏名:          印または署名
Date:

契約段階でこのような文書を取り交わすことによって自社の輸出管理体制がしっかりおこなっていることの証拠となりえるわけです。

しかし、近年輸出管理の重要性が日本でも叫ばれていても、このような文書をお客様からもらうことをとても嫌がる企業もいまだに存在します。

これも実話ですが、輸出管理部門の担当者が上記のような声明文をお客様と取り交わして欲しいと営業担当者におねがいしたところ「うちの営業は国内のユーザーにしか販売していないので輸出なんて関係ない」と全く無視されました。

その話を聞いた役員でもある営業部長は直接お願いしてきた輸出管理部門の担当者に話をせずに、輸出管理部門の上長に文句を言い、その提案事態を潰してしまいました。

輸出管理部門の上長は自分の昇進に影響するので、会社全体の管理体制の整備よりも役員である営業部門の意見に全く異を唱えずに(つまりイエスマン)部下の提案を潰してしまいました。特に嫌らしいのは「直接その担当者に話をしないで、上長を介して手をまわしてくる」という点ですね。

その会社はこの件に限らず部下が上司に提案や意見を言えるような環境になく、ゴリ押しや恫喝が日常茶飯だったようです。そのくせ輸出で何か問題がでると「それは輸出管理部門の責任」などと丸投げしてくるようです。結局、輸出管理をやっていた担当者も数か月後には退社してしまったのです。

やはり役員クラスの人間が先頭にたって行わないと社内体制の整備は無理ですね

自社製品が国内販売先を経て世界各国に輸出されていることを知っているにもかかわらず、自分は国内営業しかしていないので輸出は関係ないと言い張るような営業しかいない会社は少なくないかもしれません。

しかし、実際には一旦販売した製品はGPSでもつけない限りどこをどのようにまわっているかなんて管理できる企業はほとんどありません。


「うちはそんなところに輸出しない」「うちはそんな人と取引しない」等と主張していても、実際に懸念国に輸出されていることがわかれば、役所はその企業の社内の体制がどうなっているのか必ず訊いてきます。そこで、体制が整っていない場合は指摘されることがありますね。


社内の体制がどうなっているのか必ず訊いてきます。そこで、体制が整っていない場合は指摘されることがありますね。

防波堤ではありませんが、このような文書一つでもあるのと無いのではずいぶん違うと思いますよ。

みなさんの企業は「国内販売しかやってないので大丈夫」って思っていませんか?

輸出管理についての話は今回で終わりです。次回以降は輸出入手続きに関することを書いてみようかと思います。

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