米国の規制分類番号(ECCN)番号との比較
参加国の法令は国際レジームであるAG,ワッセーナーアレンジメンでの決定に準じて各国が法令改正をおこなっています、WCOでのHS改正に対応して各国が法改正をおこなっているのと同じようなものです。
HSは各国で若干が違いがあるもののほぼ共通で、(税関の判断により若干見解が異なる
などもありますが)比較的各国の対比を見ることは簡単です。
しかし、貿管令別1貨物等省令番号と米国のECCN番号には全くの相関関係がありません
米国とEUの基準は若干の違いはあるものの先頭の番号は似通っていますので対比することはそう難しくありません。
日本の法令はまさにガラパゴス化しているのでは?と実務をやっていて非常に強く感じます。
例えばポンプ。米国では2B350で規制され、 EU規制でも2B350iで規制されています。
しかし日本の貿管令別1ではの3項2-9となり、2B350とはなんの関連性もありません。
(そもそも日本の法令はアルファベットを使用しません。)
このような状況ですので、諸外国からの問い合わせに対しては、都度別1項番とECCN番号を対して判断しなければならないのです。モノによっては一つのECCN番号に対して別1の複数項が該当するものもあり、確認には時間がかかります。(しかも規定がイロハニホヘトで並んでいるので、それをどうやって読み代えるなどの検討も必要です。)
そうです!とても面倒です。
関連団体も番号の統一化を要求して要望書を提出しています。
「2004年度日本経団連規制改革要望」(2004年11月16日)において、欧米コードとの対比表の策定による対照化、さらに中長期的な検討課題として欧米先進国と同様の国際基準のコードへの統一化を要望した。
これに対して政府からの回答は…….
1、輸出管理レジームにおいて合意された同じ規制品目リストに基づく海外との対照に非常な手間はかからない。
2、わが国には欧米のコードについての解釈権がなく、コードの変更等にもわが国の関与は及ばない。
3、各国独自の現行法体系を大幅に超えて統一することにかかるコストとそれによって得られる効果を
比較衡量すれば、対応は困難である
4、項番等の現行体系の大幅な変更による各企業の社内文書や輸出管理体制の変更によりコストがかかる
このような回答です。この回答から関係当局が「わかりやすさ・理解しやすさ」を法令制定時に考慮していないことは明白ですね。
実務を経験した人この回答を見て感じることは……
1、非常な手間がかかります。
2、AGやWASSENERの決定に準じで各国の基準も変更されるので関与が及ぶ及ばないの見地でなく
HSなみにコードを統一化し、わかりやすさ理解しやすさを考慮してほしい。
3、統一しないで進んでいくコストの方がかかる。
4、一時的にコストはかかりますが、現行の番号の不一致がどれほど業務の時間を費やしているかを考慮すべき。
となります。
一度作ってしまった制度・政策を見直すことには消極的ですので、今後も番号統一はないと考えられます。「国際レジームに準じていれば番号がどうであれ、それでOK」ということでしょうか?一度ゴーサインがでた政策は何があっても方向変換に応じない考え方は、監督官庁がいままで推進してきた何かの政策にも酷似しているように感じます。
以上、次回は貿管令の部分品規定とECCNのデミニマスレベルについてまとめてみます。