モノが作られる段階と言うのは多岐に渡ります。
その品質(Quality)を管理(Control)するのがQCな訳ですから、QCも多岐に渡るのは当たり前です。
そこでここでは、段階を追ってそれぞれのQCを見てみる事にしましょう。
※QCが本当の意味でQuality Controlなのか、それともQuality Checkだけなのかは難しい所ですが、ここで出てくるQCはどちらかと言うと検査(Check)主体のものとなります事をご了承下さい。
段階1.部材受け取り段階でのQC = IQC
どのメーカーでもそうですが、一から十までの全てを自社内で生産している訳ではありません。
全てを製造しようと思うと、その設備やノウハウは膨大になり過ぎて、結局は効率的では無いからです。
幾つかの部材に関しては、必ずそれを専門にしている外注の下請工場と言うのが存在します。
モノ作りのスタートは、その下請工場からの部材の納入から始まります。
つまり、一番初めのQCは部材の受け入れ検査となるのです。
これはIQC(Incoming material QC)と呼ばれます。
一般的に購入する様な部材は単価が低く、しかも数量が膨大となりますので、下請工場からの検査報告書の確認による書面での検査か、AQLなどのレートでの抜き取り検査が普通です。
なぜIQCは必要なのでしょうか?
ちょっと丁寧過ぎる、面倒臭過ぎると感じる人もいるかもしれません。
下請工場を信じれば良いじゃないかと言われるかもしれません。
でも、良く考えてみてください!
不良の部材から出来た製品は、後の工程が如何に完璧であっても不良品になってしまうのですよ。
完成品になってからQCをしても良いと言われるかもしれませんが、それまでの作業の無駄、時間の無駄、スペースの無駄、部材の無駄が発生してしまいます。
また組み立てられてからでは、その部材が悪いと言うのを見つけるのは大変困難になってしまいます。
受け取ってからすぐだと下請工場も不具合を納得し易いでしょうし、その後のPDCAによる再発防止も期待できる訳です。
完成品の中の部材に不具合があるとクレームを言っても、それは作業の最中に何かが起こったんだろう等と言う水掛け論も不要になります。
だからIQCと言うのは極めて重要なのです。
段階2.作業のポイントでのQC = IPQC(若しくはPQC)
次はIQCを通った部材を用いて、組立作業と言う段階となります。
ここからは自社工場のワーカーが独自の作業を開始する訳です。(ロボットで行う部分もあるでしょうが)
ワーカーと言うのは人間です。性悪説では無いですが、人間はミスを起こしてしまう生き物です。
人間が行う工程では、必ずヒューマンエラーを疑うのが品質管理です。
(ロボットや機械が起こしたエラーも、結局はそれを検査、操作などしたヒューマンエラーと考えるべきです。)
そこで作業のある区切り毎に、部材と部材で組み立てられた半製品を検査する工程、IPQC(In-line Production QC)』を組み込むのです。
これは作業したワーカー自身が行う場合と、専門のQC担当が行う場合に分かれます。
段階3.完成品のQC = FQC
部材と部材が組み立てられ半製品となり、半製品と半製品が組み立てられると、ようやく完成品となります。
完成品のQCはFQC(Final Product QC)と呼ばれます。
製品の機能が発揮されるか、仕様に合致しているか、概観は汚れたり傷が付いたりして無いかを、ここでは全数チェックするのが普通です。
基本的には包装系は除外した、製品本体のみの場合の方が多いかもしれません。
これも作業したワーカー自身が行う場合と、専門のQC担当が行う場合に分かれます。
段階4.出荷前のQC = OQC
これが最後のQC段階です。
基本的に専門のQC担当しか行いません。
正にそのまま出荷出来る状態のものを、ランダムに抜き取りで開梱して全てをチェックするのがOQC(Outgoing QC)です。
FQCは行っているけれども、OQCは行ってないと言うメーカーは多い様な気がします。
前段階までのQCが完璧であれば、理論的にはここではほぼ不具合は発見されないはずですから、何となくその気持ちはわかります。
このOQCのポイントは、これが唯一のそのままお客様に届く状態だと言う点です。
OQCは最後の砦です。
OQCがされてもされなくても、その商品はそのままお客様に届いてしまうのです。
ここで不具合が発見されなければ勿論それはそれで良い訳ですが、ここで不具合が発見されてしまったら今迄のQCなどの工程は全く意味が無いと言う事になります。
そう考えると、OQCは一番大事なポイントと言える訳です。
IQC ⇒ IPQC(PQC) ⇒ FQC ⇒ OQC。
いずれにせよ勘などに頼らずに 、何をどう検査して、どの判断基準によりどう振り分けるのかと言うシステムや標準が重要になるのです。