唐突な質問ですが、あなたは『上屋』 って読めますか?
その道の人間しか触れる機会の無い言葉ってありますよね。
世の中には様々な専門業界があり、その中には更に様々な専門用語がある訳です。
これは所謂、貿易業界での専門用語なのです・・・。
ついこの間、こんなお問い合わせを受けました。
「『上屋』ってなんと読むのですか?」
文字で書くと簡単ですが、そもそもそれが読めないのが問題の始まりなのです。
お問い合わせされた方は、『上屋』とは何なのかを知りたかったのだと思います。
ですが、まずそれが「読めないじゃないか!」と言う軽い苛立ちからコミュニケーションがスタートしてしまったのです・・・。
正解を先に言うと、これは『上屋(うわや)』と読みます。
日常では聞きなれない言葉ですよね。学校でも、勿論、習ったこと無いですよね??
一般的には、港、空港、鉄道駅 などにある建物のことです。
貨物の積み降ろしや、一時保管に使用される場所をさしています。
「それって倉庫と同じなんじゃない?」
と思われる方もいるかもしれませんが、厳密には倉庫とは区別されているのですよ。
- 壁が無い、または一部の側面にだけあり、開放構造になっている
- 柱と屋根のみの建物
これが一般的な倉庫と『上屋』の違いです。
国際物流においても、『上屋』は重要な役割をしているのです。
今回は航空輸送を例にとってお話してみましょう。
空港に設置されている『上屋』は滑走路の脇などにあります。
航空機を使った国際輸送では、航空用コンテナが使用されています。

航空用コンテナは航空機の形状に合わせて機種ごとに製造されているので、コンテナ自体の重さなどを軽くするために、強度が低めに作られているのです。
強度が弱いということは、地上輸送と航空輸送との間を一貫輸送することは少なくなりますよね。
貨物へのダメージリスクが高くなってしまいますからね。
この航空輸送時の貨物形態を、地上輸送時に適した形態へ変える際に、『上屋』では貨物の詰め替え作業が行われます。
私も貿易の世界に飛び込んだ当初、これを『じょうや』と読んで上司に笑われたのを今でもしっかり覚えています。
良い思い出がよみがえり、なんだか温かい気持ちになって、お問い合わせに感謝してしまいました。
今後も貿易のこんな素朴な疑問に対しても記事に出来れば良いな、と思っています。
素朴な疑問ほど、意外に核心を突いている事ってありますからね。
普段は逃げ回っている様な、ね。