とんでもないトンと言う単位
さて、今回のお話は、『t(トン)』について。 『トン』とは単なる重量の単位ですが、結構奥が深かったりするのです。 あなたが知っている『トン=1,000kg』以外にも実は様々な『トン』が存在するのです・
3種類のトン、『ヤード・ポンド法の英トンと米トン』、あなたが日常で使っている『メートル法の仏トン』がありましたね。
実はトンは重さだけではなく、大きさを表す単位でもあるのです!
・・・では、突然ですがここで問題をひとつ。
こ、これは・・・。
小学校で習った事ではありますが、唐突に聞かれると意外と困った人も多いのではないでしょうか。
すんなり算数の定義が出てくれば問題ないのですけど、結構忘れているものですよね。
海運業界では水1仏トンから換算した容積、1仏トン=1立方メートルを基準として、預かった貨物の重量と容積をそれぞれ、計り大きい方を『レベニュートン』として費用を計算します。
(レベニュートンに関してはこちらの記事『レベニュートン (Revenue Ton)とは?』をご覧下さい)
レベニュートン (Revenue Ton)とは?
下記リンクの別の記事では、実重量と容積重量について説明しました。 輸送運賃を算出する時には、実際の重量である『Actual Weight:アクチュアルウェイト』と容積重量である『Volume Weig
日本ではあまりなじみ無い『英トン』ですが、船の世界では『英トン』の方が断然メジャーなのです!
そしてこの『英トン』にも、『仏トン』と同じ様に容積へ換算したトンがあるのです。
『英トン』の由来はタルの音から来ているという話をさせてもらいましたが、当時タルを置いたときのスペースを占める容積は40立方フィートとされていました。
1フィート=0.3048メートルなので、『1英トン=40立方フィート=1.13267立方メートル』となるのです。
これは『載貨(さいか)容積トン』といわれており、今でも一般的に貨物船やタンカーで船内の貨物倉の大きさを表す単位として使用されています。
でも、船舶には貨物だけでなく、人間を運ぶ客船もありますよね。
実は客船の客室には『客室1室=1英トン=100立方フィート=2.831684立方メートル』という別のトン単位があり、これは客船の設計や、大きさを示すために使われるようになっていきます。
この客室のために設定された1英トンは『総トン』と呼ばれており、船舶の大きさを示すための、国際的な単位として使われているのです。
客船のために100立方フィートを基準として、なぜ英1トンが再設定されたの?って思いませんか?
もともとの基準では、貨物倉にタルが入るスペースを基準にしていました。
しかし当たり前ですが貨物と人間は異なるので、『一樽→一人』へと換算する新たな単位設定が必要となったのです。
では人間向けに換算された、この『100立方フィート』ってどのくらいの大きさなのでしょうか?
凡その目安として言えば、カプセルホテルの1室が『100立方フィート』に相当します。
人間が眠るときに使う必要最小限のスペース(容積)が基準とされた様ですね。
ちょっと不思議な感じがしますが、船舶の世界で大きさを表す時に、通常では重さを表す『トン』がこの様に使用されているのです。
・・・実は更にトン数にはまだまだ種類がたくさんありますので、キチンと確認しないと「どんな重さか?」や「どんな大きさか?」かと言うのがゴッチャになってしまうので注意しましょう!
日本での日常生活では『トン』と言うと普通は『仏トン』になるのですが、『船の世界では英トンが基準』となっているんですね。
しかも『載貨容積トン』や『総トン』があるなんて、本当に紛らわし過ぎますよね・・・。