唐突な質問ですが、あなたは『上屋』 って読めますか?
その道の人間しか触れる機会の無い言葉ってありますよね。
世の中には様々な専門業界があり、その中には更に様々な専門用語がある訳です。
『上屋』は所謂、貿易業界での専門用語です。
以前、こんなお問い合わせを受けたことがあります。
「…ここに書いてある、これ(『上屋』)ってなんと読むのですか?」
文字で書くと簡単ですが、そもそもそれが読めない場合、電話などでの口頭のコミュニケーションではいつの間にか苛立ちに変わってしまうことがある訳です…。
あまり焦らさずに正解を言うと、これは『上屋(うわや)』と読みます。
日常では聞きなれない言葉ですよね。
勿論、学校でも習ったこと無いですよね??
一般的には、港、空港、鉄道駅 などにある建物のことです。
貨物の積み降ろしや、一時保管に使用される場所を指しています。
「それって只の倉庫と何が違うの?」
と思われる方もいるかもしれませんが、倉庫とは下記の様に区別されているのです。
項目 | 上屋 | 倉庫 |
---|---|---|
違い | 壁が無い、もしくは一部の側面にだけあり、柱と屋根のみで開放構造になっている | 屋根と壁で囲われて閉じた構造になっている |
用途 | 一時的な保管や積み卸し作業に適している (温湿度管理に注意) | 施錠やセキュリティ対策が可能なので長期的な保管に適している |
因みに航空輸送の場合、空港に設置されている『上屋』は滑走路の脇などにあります。
航空機を使った国際輸送では、航空用コンテナが使用されています。
航空用コンテナは航空機の形状に合わせて機種ごとに製造されているので、コンテナ自体の重さなどを軽くするために、強度が低めに作られているのです。
強度が弱いということは、地上輸送と航空輸送との間を一貫輸送することは少なくなりますよね。
貨物へのダメージリスクが高くなってしまいますからね。
この航空輸送時の貨物形態を、地上輸送時に適した形態へ変える際に、『上屋』では貨物の詰め替え作業が行われます。
最後に上屋の建設や運営にも、国や地域の法規制が適用されます。
上屋と上手く付き合う注意事項として、それらを表形式でまとめたので参考にしてもらえればと思います。
法規制 | 管轄機関 | 注意事項 |
---|---|---|
建築基準法 | 国土交通省 | 上屋の建築や改築時に遵守する必要があります |
消防法 | 消防庁 | 上屋の火災予防や避難設備に関する規制が適用されます |
労働安全衛生法 | 厚生労働省 | 従業員の安全と健康を確保するための規制が適用されます |
危険物の保管・輸送 | 消防庁/国土交通省 | 危険物を取り扱う場合、特別な法規制が適用されることがあります |