輸出入などの貿易に関わらず、やはりビジネスは価格抜きに話す事はできません。
あなたはどの様に価格を決めていますか?
えっ…仕入原価や経費に欲しい利益を乗せると言う設定方法ばかり??
なるべく多くの価格戦術をこちらで紹介しますので、輸出入ビジネスを勝ち抜く為に参考にして下さい。
段階価格 - Tiered Pricing
品質や機能に応じて複数の価格帯を設定する方法です。
航空券のエコノミー、ビジネス、ファーストクラスなどが身近でわかり易い例ですね。
消費者はニーズや予算に合わせ、0か1かで諦める事無く、幅広い選択肢を得る事が出来る訳です。
日本でも古来から松が最も高価で高品質、梅が最も手頃な価格であり、竹が中間の品質と価格を示す、松竹梅での価格設定がありますよね。
消費者は最も高価で高品質な選択肢(松)と最も安価で低品質な選択肢(梅)の間でバランスを取る選択を好み、竹が選ばれやすくなる効果は「コンプロミス効果」または「中間選択肢バイアス」と呼ばれています。
消費者は、最高品質の松を選ぶことによる費用対効果や、最低品質の梅を選ぶことによる品質の不安を避けるため、竹を選ぶ可能性が高くなるので、中間の竹と言う選択肢を中心に利益の最大化を目指していきましょう。
均一価格 - Uniform Pricing
100円ショップが良い例となる、すべての商品やサービスを同じ価格で販売する方法です。
消費者は買い物の際に商品の選択が容易になりますし、お会計も相互で楽ですよね。
商品がすべて同じ価格なので、消費者は価格比較をせずに、商品の機能やデザインに集中できると言うのが大きなメリットとなります。
差別価格 - Discriminatory Pricing
異なる顧客層に対して異なる価格で販売する方法です。
例えば、映画館では大人向けと子供向けのチケットがあり、学生割引も、シルバー割引も提供されています。
この様な差別価格戦略を取ると、映画館はさまざまな顧客層を取り込むことができ、広い客層にサービスを提供することができると言うメリットがあります。
さらに、それぞれの顧客層の経済状況に合った価格設定により、顧客満足度を高めることができます。
更に映画館では、通常の上映以外にもレイトショーやレディースデイ、ファーストデイ(初日)など、特定の日や時間帯に割引料金が適用されることがあります。
これらの割引も差別価格戦略の一環であり、さらに多くの顧客に映画館を利用してもらうことを目的としています。
端数価格 - Psychological Pricing
商品の価格を少し下げることで、消費者に安く感じさせる効果があります。
身近なところではスーパーとかで¥1,000ではなく、¥999と価格表示させることで、消費者に価格が一桁落ちて安いと錯覚させることができます。
スウェーデンの家具やインテリア雑貨の大手企業、IKEA(イケア)でも、商品の価格設定に端数価格戦術が多く取り入れられ、ある家具が10,000円ではなく、9,990円で販売されていると言う様なことがよくあります。
端数価格は消費者にとって10,000円よりも結構安く感じられる為、購買意欲を刺激する効果が期待できます。
また面白いのが端数価格によって消費者の注意が引かるので、結果的に他の商品との比較を忘れてしまわさせる効果もあるようです。
この端数価格戦術の効果は世界中で多くの人々に支持されているイケアの成功からも明らかだと考えられます。
ダイナミック価格 - Dynamic Pricing
需要や供給、市場状況などの変動に応じてリアルタイムで価格を調整する方法です。
航空券や宿泊施設の料金、オンラインショップなどでよく見られます。
実際に旅行シーズンになると普段の2〜3倍の価格設定はざらであったり、逆に閑散期になるとエッと驚かされるようなプランの広告を見かけますよね。
またアメリカの野球チーム、サンフランシスコ・ジャイアンツでも、チケットの価格を試合ごとに変動させています。
対戦相手や試合の人気度、天候などによって客足が大いに異なってくるので、需要の変動に応じて価格を上下させ、収益の最大化を目指しているとの事なのです。
サブスクリプション価格 - Subscription Pricing
定期的な料金を支払うことでサービスや商品を利用できる価格設定です。
例えば、NetflixやSpotifyのような動画や音楽のストリーミングサービスがあります。
ITサービスの様に固定費が多大で、変動費が少ない場合に効いてくる価格設定となります。
アメリカの映画館チェーン、AMCが提供する「AMC Stubs A-List」と言うサービスは、月額料金を支払うことで、週に3本の映画を見ることができるサブスクリプションプランがあります。
映画好きな顧客は月額料金だけで劇場で映画を楽しむことができる訳ですが、重要なのは映画館にも定期的に来場するインセンティブが生まれるということです。
このようなサブスクリプションプランは、消費者に継続的なサービスを提供する事で新しい習慣化を促すという効果もが見込めるのです。
ペネトレーション価格 - Penetration Pricing
新製品が発売された際に、最初から低い価格で販売し、市場シェアを獲得する方法です。
格安スマホやインターネット通信サービスがこの戦術を取り入れています。
新しい商品を試させる為に有効で、スイッチングコストが高ければ惰性で継続されると言う効果も大きいかもしれません。
ソニーのPlayStation(プレイステーション)は1994年に初代PlayStationが発売の際、他のゲーム機と比較して低価格な設定をしました。
これにより多くの消費者がPlayStationに興味を持ち、短期間でゲーム機市場におけるシェアを拡大したと言うのはペネトレーション価格戦略の一つの成功例と言えるのでしょう。
スキミング価格 - Price Skimming
新製品が発売された際に、最初に高い価格で販売し、徐々に価格を下げる方法です。
新しいスマートフォンが発売された際に、最初は高い価格で販売され、数ヶ月後には値下げされることがあります。
…しかしながらこれをやられると買い控えとかが起きてしまうのが難しいところです。
名声価格 - Prestige Pricing
高価格で商品を設定することで、その商品が高品質であると認識させる方法です。
高級ブランドのバッグや時計がこれに該当します。消費者に高いステータスや品質を連想させることができます。
輸出入ビジネスではブランディング効果を狙い、強気に名声価格で勝負していくのも一つです…品質に自信があればこそですが!
ロレックスの時計は、耐久性や精度に優れており、さらに洗練されたデザインが特徴です。高価格によってロレックスはそのブランドイメージを維持し、著名人に着けてもらうことで、更に消費者にステータスシンボルとしての価値を提供しているのは良い例なのかもしれません。
価格戦術のまとめ
些細な枝葉も含めると価格戦術はまだまだあるとは思います。しかしながら価格も消費者への重要なメッセージとなります。
機械的に価格を決めるのでは無く、市場環境、現場の動向、消費者の心理を踏まえて皆がハッピーになる価格設定を頑張って下さい!